後で嫌な思いをすることがわかっていながら,どうしても繰り返してしまう他者とのやりとりを交流分析では「ゲーム」と呼びます。
例えば,
「何度も約束の時間に遅れ,そのたびに相手を怒らせてお互いに嫌な思いをするのがわかっているのに,また遅刻してしまう」
逆に
「相手がミスをしたときに必要以上に徹底的に責め立ててしまい,嫌われてしまう」
また,
「相談を持ちかけておきながら,相談に乗ってくれた相手の言うことをことごとく否定して最後には怒らせてしまう」
「落ち込んでいる自分を心配して慰めてくれる相手に対し,執拗に自分を卑下し続けて,呆れて見放されてしまう」
などなど。。
「最終的には相手も自分も嫌な思いをしてしまう」ことがわかっているのに,何度も何度も繰り返してしまうことはありませんか?
上記の例など一度くらいなら誰にでも経験があることかもしれません。 でも,通常は後で嫌な思いをすると,二度と繰り返さないように注意するものです。
しかし,不思議なもので,ほとんどの人はある「特定のゲーム」を「わかっているのに繰り返してしまいます」
「心配してほしくて何度注意されても態度をあらためずに母親を怒らせる息子」「娘を心配するあまり,いつも必要以上にキツク叱って嫌われる父親」「話をしたくて妻に意見を求めながら,妻の意見をすべて否定して怒らせてしまう夫」
何度も同じことを繰り返す夫婦喧嘩や親子喧嘩などはその典型的な例だとも言えます。
それ以外でも,例えばわたしの場合,
以前珈琲店を経営していた時,「持ち込み飲食」とか「店内での大声での通話」とか,メニューにも明記してある「店内での禁止ルール」を破るお客様に対して, 最初は控えめに「申し訳ありませんが。。」と注意させていただくものの,それを無視して続けるお客様に対しては「上から目線で責めるように注意」をしてしまい,最終的にお客様の気分を害して退店させてしまうことが度々ありました。
決して,退店させて自分が「スッキリ」するわけではないんですよね。後で毎回「しまった。またやっちゃった。。」と後悔するんです。
誰が得するわけでもないのに何故繰り返してしまうのか。。
交流分析的には,これは以前に紹介した「ストローク不足」と大きく関係があります。 ポジティブストロークで満たされている状態で「ゲーム」を仕掛けたり「ゲーム」に乗ったりすることはありません。「ストローク不足」であるがために「ネガティブストローク」であっても求めてしまう。。
上述のように,人によって仕掛けやすい(乗りやすい)「ある特定のゲーム」が決まっています。
自分が仕掛けやすい(乗りやすい)「ゲーム」がどのようなものか?
それを自覚しておくことが出来れば,自分が「ゲーム」を仕掛けてしまった(乗ってしまった)ときに「気づく」ことが出来ます。そして,「気づく」ことが出来れば,自分の中の「Aの機能」を働かせることで「ゲーム」を中断することが可能です。
さらに言えば,中断した後に「ストローク不足」を解消することで「ゲーム」を仕掛けやすい(乗りやすい)心理状況から脱することも可能です。
ま,頭でわかっていてもこれがなかなか難しい。。だから「わかっちゃいるけどやめられない」んですけどね。。奥が深いです。