ナポリタンとカルボナーラの語源のお話

【ナポリタン(Neapolitan)】


本場イタリアに「ナポリタン」というパスタメニューは存在しない,ということは一般的にも知られているようですが,その起源においては幾つかの説があるようです。


その中で,わたしが個人的に説得力があると思うのは


1.アメリカの定番メニューである「ミートボールスパゲティ」(トマトソースで煮込んだミートボールをスパゲティに絡めたもの)が戦後日本に伝わり,それを身近な代用品「ミートボールの代わりにウインナー(ハム)」「トマトソースの代わりにケチャップ」を使ってアレンジしたのが起源


というものと


2.イタリアのトマトソースを使った料理法をフランス料理で「ナポリ風」と呼んでおり(ナポリがトマトの一大産地であったことが理由),トマトソースを絡めたシンプルなパスタ「スパゲティ・アラ・ナポリターナ(ナポリ風スパゲティ)」を,日本流にアレンジし,トマトソースの代わりにケチャップを使ったのが起源


という2つの説ですかね。


材料や味,タバスコを一緒に提供することが多いことを考えると1.の「ミートボールスパゲティ」のアレンジとして考えるのが正解のような気がしますが,ネーミングは明らかに2.のフランス料理における「トマトソースを使ったスパゲティ」から来てますよね。


ただ,明治,大正の頃から現在のナポリタンの前身とも言えるような「洋食」が老舗の洋食屋には存在していたらしく,「ナポリタンは完全な日本オリジナルの創作料理だ!」という説もあるようなので,どれを信じるかは各個人の判断ということになるのでしょうか?


【カルボナーラ(Carbonara)】

 
その語源が「炭」を表すイタリア語「carbonaio」であることは間違いないようですが,「カルボナーラ」の起源に関しても複数の説があるようです。


代表的なものとしては


・ふりかけた黒胡椒を,炭焼き職人の手についた炭の粉に例えた

・炭焼き職人の組合であった秘密結社「カルボナリ党」にちなんで命名された

・保存のきくベーコンと卵を材料とし,しかも高カロリーであるため, 

 炭焼き小屋で働く職人達が好んで作った

・カリカリに焦がしたベーコン(パンチェッタ)を「炭」に見立てた

 

といったものがあるようですが,どれもそれなりに「信憑性」があって,ひとつに絞ることは難しいようです。


いずれにしても,第二次世界大戦末期にローマ郊外に駐屯していたアメリカ軍が,食料庫から運び出したベーコンと卵を使って地元の人達に作ってもらったことがきっかけとなって,イタリア全土,さらには世界中に広まっていくことになったとか。