交流分析における【ストローク】のお話

交流分析の中で自我状態の「構造分析(P,A,C)」,「機能分析(CP,NP,A,FC,AC)」と同じくらいわたしが影響を受けたのが「ストローク」という考え方です。

一般的に「ストローク」というと

1 水泳で、腕で水をかくこと。また、そのひとかき。
2 テニス・卓球・ホッケー・ゴルフなどで、球を打つこと。また、ゴルフで打数のこと。
3 スピードスケートで、一滑り。
4 ボートで、オールの一こぎ。また、ボートの艇尾に最も近いこぎ手(整調)のこと。

といったことを指す(出典:Yahoo!辞書)のですが,交流分析における「ストローク」とは

 対人関係の基本となる「相手の存在を認める働きかけ」

のことを指します。

具体的には,直接「肌に触れる・撫でる・さする・殴る・蹴る」といった「身体的なストローク」と,「褒める・叱る」といった言語メッセージや「表情・動作・態度・声の調子」などの非言語メッセージなどによる「精神的なストローク」があり,

幼児期に両親または両親の代理をした者から受ける接触や愛撫といった「身体的ストローク」への欲求から,成長とともに賛辞,承認などの「精神的ストローク」への欲求へと変化しながら,人は生涯「ストローク」を求めて生きていくことになります。

この「ストローク」理論の重要なところは,「ストロークは心の栄養素」として心の健康状態を維持していくために必要不可欠であり,人は「ポジティブ(肯定的)なストローク」の代わりに「ネガティブ(否定的)なストローク」を求めてでも,ストロークが不足して「ストローク飢餓」の状態に陥ることを避けようとする。。という点です。

例えば,日常的にわざと人を怒らせるような発言や行為を繰り返すような人は,幼少期に周囲の大人から満足な「ポジティブストローク」を得られず,代わりに「ネガティブストローク」をもらうことで自らの「ストローク欲求」を満たしてきた。。のかもしれません。

つまり,たとえ「嫌われたりウザがられたり」したとしても,それは相手から「存在を認められている」証明であって,「無視される=存在を認められない」よりは遥かに心の健康の安定に繋がるワケです。

どうです?あなたの周囲に思い当たる人はいませんか?

ただ,この「ストローク」理論は決して「自分や他人の行動の理由を理解する」ために役立つだけのものではありません。

「ストローク」理論ががわたしにとって「目からウロコ」の理論だった最大の理由は

「ストローク」は損得勘定を考えながら商取引のように「交換」するものではなく,他人に対してより多くの「ストローク」を与えれば与えるほど,他人からより多くの「ストローク」をもらうことが出来るものである!

という点にあります。

つまり,他人に対して「ポジティブなストローク」を沢山与えれば与えるほど,他人から「ポジティブなストローク」を多くもらうことが出来るのであって,「ストローク」の出し惜しみをしてしまえば,その分,もらえる「ポジティブなストローク」も減ってしまうのです。

日頃ついつい「挨拶」や「微笑み」や「感謝の言葉」を出し惜しみしてしまってはいませんか?

出し惜しみする必要はどこにもないんです。素直に相手に「感謝の言葉」を伝えられる人の方が,より多くの「感謝の言葉」をもらうことが出来るのです。素直に相手に「微笑み」かけることの出来る人の方が,より多くの「微笑み」をもらうことが出来るのです。

今日から「出し惜しみ」はやめましょうね。。

 

わたしもまだまだ修行中ですが。。出来るだけ沢山の「ポジティブストローク」を周囲に与えられるよう努めていきたいと思っております。

 

※ただし,ここで忘れてはいけないのは,そのストロークが「ポジティブ」か「ネガティブ」かというのは,受け取る相手が決めることだということです。こちらが「ポジティブ」な身体的ストロークのつもりでハグしても,相手が「ネガティブ」に受け取ってしまったら「ネガティブなストローク」しか返ってこないことになりますのでご注意を!

 

【写真】交流分析を教えてもらっているわたくしの「師匠」!小林雅美教授が著・翻訳を手がけた「ストローク」をわかりやすく解説してくれている本「心のエコロジー」(鳥影社 1200円+税,リンク先=Amazonで購入できます)です。