交流分析における【3人の私】のお話

交流分析では,人間の自我状態を「成人(Adult)」「親(Parent)」「子(Child)」の3つに分けて考えます。


「成人(Adult)」とは,大人として冷静にまわりに起こる出来事に対して「今,ここ」での反応として行動し,考え,感じること


「親(Parent)」とは,自分の両親や親的役割だった人を真似たような(影響を受けた)行動,考え方,感じ方をすること


「子(Child)」とは,自分が子供の時に経験したのと同じように行動し,考え,感じること


例えば,自動車の運転をしているとします。


周りの交通状況に気を配り,安全運転を心がけているとき,貴方は「Adult」の自我状態にいます。


しかし,横から強引に割り込んできた車を見た時,貴方はかつて自分のお父さんがそうだったように,「何やってんだ,バカヤロウ!」と叫んでクラクションを鳴らそうとするかもしれません。その時,貴方は「Parent」の自我状態にいます。


その後,制限速度一杯で走っているときにスピード違反の取締りをしている白バイを見かけたとします。途端に貴方は放課後に私服で先生に会った時のような気まずさと後ろめたさを感じながら「見つからない」ように身体を小さくして白バイの横を通り過ぎるかもしれません。その時,貴方は「Child」の自我状態にいます。


このように,普段の生活の中で誰でもこの3つの自我状態の中を行き来しているワケですが,人によってはこの3つの自我状態の中のどれか1つにいる時間が他の2つよりも長いこともあるでしょう。


わたしの場合,あまり感情を表に出さず,常に冷静に「今,ここ」で考え,感じ,行動しようとする「Adult」の比重が高い傾向にあります。


一方で,自分にも他人にも厳しく他人を指導したり保護したりする傾向の強い「Parent」の比重が高い人,遊び心満載で人に頼ろうとする傾向の強い「Child」の比重が高い人もいるでしょう。


自分の中にいる「3人の私」の傾向を自覚することが,「己を知り,相手を知る」ことの第一歩になります。